電気機器 / 製造業 / 実質時給 / 転職 / ランキング / 有報データ

電気機器業界の実質時給ランキング2026|ソニー・日立・富士通・パナソニックを有報データで比較

/ 読了 10分

結論(要約)

電気機器業界大手4社の有報データから推計実質時給を算出するとソニーグループ¥5,556(月残業15.3h)・富士通¥5,369(14.8h)・日立¥4,530(19.6h)・パナソニックHD¥4,108(18.2h)となり、¥1,448/hの格差がある。年収差が¥293万あるソニーとパナソニックの時給差を引き起こした主因は「年収の絶対水準」であり、残業時間は二次的な要因にとどまる。

この記事のポイント
  1. 1電気機器業界大手4社の推計実質時給はソニーグループ¥5,556・富士通¥5,369・日立¥4,530・パナソニックHD¥4,108の順。¥1,448/hの格差がある(出所:各社有価証券報告書・EDINET開示にTimeValue計算式を適用した推計値)。
  2. 2ソニーと富士通は月残業の差がわずか0.5hなのに時給差は¥187/h。この差は年収差¥44万から生じており、「残業がほぼ同じなら年収が時給を決める」という原則が当てはまる。
  3. 3日立は年収¥1,003万を達成したが月残業19.6hで3位にとどまる。もし月残業を富士通並み(14.8h)に削減できれば、推計時給は¥4,530→約¥4,784まで改善する計算になる。
  4. 42026年春闘で電機大手がベア1万8000円を満額回答(電機連合・2026年3月18日)。賃上げが進んでも会社間の時給格差は¥1,448/hあり、入社後の残業時間次第でさらに広がる。
目次
  1. 01電気機器業は全28業種で「上位寄りの中位」——医薬品や海運に匹敵する企業もある
  2. 02ソニー・日立・富士通・パナソニックの推計実質時給を有報データで算出
  3. 03ソニーグループが首位の理由——「高年収×残業15h台」の組み合わせ
  4. 04ソニーvs富士通:年収差¥44万が時給差¥187/hを生む構造
  5. 05日立製作所「年収1,000万超え×残業19.6h」——残業が時給の天井を下げる典型例
  6. 06パナソニックHD¥4,108——4社最低でも「全上場企業平均を大きく上回る」という事実
  7. 07電気機器業界に転職する前に確認すべき3つのポイント
  8. 08まとめ:電気機器業界大手4社の実質時給比較

2026年3月18日、電機連合の集中回答日で日立製作所・パナソニックHD・NEC・富士通などがベースアップ相当分の月額1万8,000円を満額回答した。電機業界の賃上げ率は6%前後となり、3年連続で5%超えを維持している(日本経済新聞、2026年3月18日)。「賃上げが進んだ電気機器業界」という報道が相次ぐ中、転職者や就活生が本当に知りたいのは別のことだ。

「残業込みで1時間あたりいくら稼げるのか」——この実質時給こそが、転職判断で最も重要な指標だ。

TimeValueが上場4,003社(2026年4月更新)の有価証券報告書データから算出した業種別ランキングでは、電気機器業は全28業種の上位寄りの中位に位置する。しかし個社の差は大きく、今回取り上げる大手4社の推計実質時給は¥5,556〜¥4,108と¥1,448/hの格差がある。

本記事では、ソニーグループ・日立製作所・富士通・パナソニックHDの4社を有報データで比較し、「電気機器業の実質時給の差がどこで生まれるか」を解説する。


電気機器業は全28業種で「上位寄りの中位」——医薬品や海運に匹敵する企業もある

結論:業種平均は中位圏だが、高収益企業は海運業(¥5,265)と肩を並べる水準

TimeValueの全28業種ランキング(上場4,003社・2026年4月更新)の概要を確認する。

順位 業種 平均実質時給 月残業
1 海運業 ¥5,265 4.7h
5 医薬品 ¥4,240 3.9h
6 石油・石炭製品 ¥4,159 5.2h
上位中位 電気機器 上位寄り中位圏 —
下位 サービス業 ¥3,108 4.5h
最下位 小売業 ¥2,834 4.8h

出所:TimeValue、上場4,003社の有価証券報告書データ(2026年4月更新)。電気機器の詳細は時給ランキングで確認可能。推計値。

電気機器業が医薬品と遜色のない実質時給を実現できる理由は、一部企業が持つ「独占的な技術」にある。イメージセンサーやシリコーンなど他社が簡単に代替できない高付加価値製品を持つ企業は、利益率が高く年収水準が安定する。ただし業界内でも事業領域のばらつきが大きく、今回の4社の間だけで¥1,448/hもの差がある。


ソニー・日立・富士通・パナソニックの推計実質時給を有報データで算出

結論:ソニーグループ¥5,556 > 富士通¥5,369 > 日立¥4,530 > パナソニックHD¥4,108——差の主因は「年収の絶対水準」

4社の有価証券報告書(ソニーグループ・日立製作所・富士通・パナソニックHDはいずれも2025年3月期)の数値を基に、TimeValueの実質時給計算式を適用して推計した。

$$実質時給 = 年収 ÷(月所定時間 × 12 + 月残業時間 × 1.25 × 12)$$

月所定時間は標準的な160時間で計算している。

企業名 平均年収(有報) 平均年齢 月残業(有報) 推計実質時給 推計TEI
ソニーグループ(6758) ¥1,194万 43.1歳 15.3h ¥5,556 125.6
富士通(6702) ¥1,150万 42.8歳 14.8h ¥5,369 121.3
日立製作所(6501) ¥1,003万 44.5歳 19.6h ¥4,530 102.4
パナソニックHD(6752) ¥901万 45.2歳 18.2h ¥4,108 92.8

出所:各社平均年収・平均年齢・月残業は有価証券報告書(EDINET開示・2025年3月期)。推計実質時給・TEIはTimeValue計算式を適用した推計値。月所定時間160h。実際のデータはTimeValueの時給ランキングで確認を(推計値のため実際と差異がある場合があります)。なお各社の有報は単体(提出会社)の数値であり、グループ全体の平均とは異なります。

注目すべきは日立が年収¥1,003万で「1,000万超え」を達成しながら3位にとどまる点だ。時給を抑えているのは月残業19.6hという残業時間で、富士通との比較でいえば年収では¥147万上回るが時給では¥839/h下回る。なぜこの逆転が起きるのか、次のセクションで詳しく解説する。


ソニーグループが首位の理由——「高年収×残業15h台」の組み合わせ

結論:年収¥1,194万 + 月残業15.3hで他3社を大きく引き離す

ソニーグループ(単体)の推計実質時給¥5,556は4社の中で飛び抜けている。年収¥1,194万はパナソニックHDより¥293万高く、かつ月残業15.3hは日立(19.6h)やパナソニック(18.2h)より短い。高年収と短残業が重なるため、時給でダブルのアドバンテージが生まれる。

ソニーグループの収益力の源泉は多角的な高利益率事業だ。ゲーム・音楽・映画などのエンタテインメント、スマートフォンカメラ向けイメージセンサー(CMOS)、金融サービス(ソニーフィナンシャルグループ)という3本柱が安定した利益を生み出す。特にイメージセンサーは世界シェア首位で、価格決定力が高く残業抑制と高年収の両立を支えている。

ただし一点注意が必要だ。ソニーグループ株式会社(6758)の有報単体には持株会社機能を担う約3,200名が含まれており、現場のエンジニアや製造スタッフが多い子会社(ソニー半導体ソリューションズ等)の平均年収とは異なる。実際の職種・部門の年収はTimeValueの時給ランキングと、各社の採用情報を組み合わせて確認することをすすめる。


ソニーvs富士通:年収差¥44万が時給差¥187/hを生む構造

結論:残業がほぼ同じ(差0.5h)なら年収の差がそのまま時給の差になる

ソニーグループと富士通の比較は非常にシンプルな事実を示している。

ソニーグループの計算: ¥11,940,000 ÷(1,920 + 15.3 × 1.25 × 12)= ¥11,940,000 ÷ 2,149.5 ≈ ¥5,556/時

富士通の計算: ¥11,500,000 ÷(1,920 + 14.8 × 1.25 × 12)= ¥11,500,000 ÷ 2,142.0 ≈ ¥5,369/時

月残業の差はわずか0.5h(15.3h vs 14.8h)。残業の差に由来する時給への影響は小さく、時給差¥187/hの大部分は年収差¥44万から直接来ている。「残業がほぼ同じなら年収が時給を決める」というシンプルな原則がここに表れている。

富士通の年収¥1,150万は近年のジョブ型人事制度導入の成果だ。職能給から職務給(ジョブグレード)への転換を2020年代に加速させ、専門職・マネジメント職の年収が大幅に引き上げられた。残業も14.8hと低水準を維持しており、「高年収×短残業」という理想的な組み合わせに近い。


日立製作所「年収1,000万超え×残業19.6h」——残業が時給の天井を下げる典型例

結論:もし月残業を5h減らせれば時給は+¥254 改善できる計算になる

日立製作所は2025年3月期に平均年収¥1,003万を記録し、「1,000万超え」を達成した。ルマーダ(Lumada)デジタルソリューション事業の拡大とグローバル展開が利益率を押し上げ、賃上げ原資を確保している。それでも月残業19.6hという数字が時給を3位に押しとどめている。

仮に日立の月残業が富士通並みの14.8h(4.8h減)になったとしたらどうなるか。 ¥10,030,000 ÷(1,920 + 14.8 × 1.25 × 12)= ¥10,030,000 ÷ 2,142 ≈ ¥4,683/時

現在の¥4,530から+¥153の改善だ。さらに月残業10h台前半に削減できれば¥5,000の大台に近づく計算になる。日立が2026年以降に注力するAI・クラウドサービスの効率化が、間接的に残業削減につながるかどうかが注目点だ。

転職者の視点では、日立への入社後に配属される事業部門によって残業時間が大きく変わる点も留意したい。有報に記載される月19.6hはあくまで単体全体の平均であり、特定部門では長短の開きがある。


パナソニックHD¥4,108——4社最低でも「全上場企業平均を大きく上回る」という事実

結論:¥4,108/hは上場全体平均(¥3,400前後)比で約+¥700の水準

パナソニックHDの推計実質時給¥4,108は4社の中で最低だ。ただしこの数字をコンテキストに置くと見え方が変わる。上場企業全体の平均時給が概ね¥3,400/h前後(TimeValue算出)であることを踏まえると、¥4,108/hはそれを¥700以上上回る水準にある。

パナソニックHDの課題は「年収の低さ」と「残業の多さ」が重なっている点だ。4社中で最低の年収¥901万かつ最長に近い月残業18.2h(日立19.6hの次)という組み合わせが、時給の低下要因になっている。EV向け円筒形電池(パナソニックエナジー)や家庭用空調の強化が進む中、将来的な収益改善が年収水準の底上げにつながるかが焦点だ。

現時点での転職判断としては、パナソニックの成長事業(EV電池・空調・B2Bソリューション)に携わるポジションを選ぶことで、将来的な年収アップが見込める。会社全体の時給水準だけでなく、志望する事業部門の利益率と将来性も合わせて確認することをすすめる。


電気機器業界に転職する前に確認すべき3つのポイント

時給ベースで「良い電機メーカー」を見極める判断基準

今回の4社比較から、電気機器業界での転職・就活で確認すべき3つの点を整理する。

1. 有報(単体)の年収と残業を必ずセットで確認する

電機大手のような事業グループでは、持株会社(HD)の有報に記載される年収は実際の事業会社の年収と異なることが多い。ソニーグループ(単体)の¥1,194万は持株会社機能の社員が中心だ。自分が配属される事業会社・子会社の年収は、採用情報や時給ランキングの個社ページで確認することを強くすすめる。

2. みなし残業の実態を調べる

有報の月残業時間はみなし残業(固定残業代)分を実際の残業が下回ると、有報上は「残業ゼロ」扱いになることがある。月30〜40hのみなし残業を設定している企業では、実際の拘束時間が有報の数字より長い可能性がある。みなし残業の仕組みと時給への影響はみなし残業は損か得かで詳しく解説している。

3. 技術の「参入障壁」を確認する

電気機器業内でも、代替困難な技術や製品(イメージセンサー、半導体製造装置、電子部品)を持つ企業ほど利益率が高く、年収水準も安定する。年収水準が高い理由が「市場で売れる技術」に基づくなら長期的にも維持されやすいが、一時的な特需(AI・EV需要)に依存している場合はサイクル変動のリスクがある。TEI(タイム効率指数)の推移とともに中期経営計画も確認してほしい。


まとめ:電気機器業界大手4社の実質時給比較

企業名 推計実質時給 月残業 推計TEI 特徴
ソニーグループ(6758) ¥5,556 15.3h 125.6 高年収×短残業・多角事業
富士通(6702) ¥5,369 14.8h 121.3 ジョブ型転換で年収急上昇
日立製作所(6501) ¥4,530 19.6h 102.4 年収1,000万超えも残業多め
パナソニックHD(6752) ¥4,108 18.2h 92.8 構造改革中・改善余地あり

電気機器業界大手4社の推計実質時給に¥1,448/hの差がある。この格差を生む最大の要因は「年収の絶対水準」だ。ソニーと富士通の例が示すように、残業時間がほぼ同じ企業を並べると時給差は年収差にほぼ比例する。一方、日立のケースでは年収1,000万超えを達成しながら残業が多いことで時給が抑えられ、「年収を増やすだけでは時給は上がらない」という反対の事実も示している。

電気機器業の多くの企業の実質時給・TEIはTimeValueの時給ランキングで確認できる。新卒・第二新卒の方は新卒ランキングで初任給ベースの時給も比較してほしい。

関連記事として業界別の実質時給ランキング2026・化学メーカーの実質時給ランキング2026・TEIで見るキャリア効率ランキングも合わせて読むと、業界×個社×残業の3軸で企業を比較する視点が養われる。

本記事の推計実質時給・TEIは、各社有価証券報告書(2025年3月期・EDINET開示)の平均年収・月平均残業時間にTimeValue計算式(年収÷年間補正総労働時間)を適用した推計値です。業界平均データはTimeValueが上場4,003社の有報から算出(データ最終更新2026年4月)。各社有報は単体(提出会社)の数値であり、連結グループ全体の平均ではありません。また、電機連合の2026年春季交渉に関する情報は日本経済新聞・マイナビニュース等の公開情報(2026年3月)に基づきます。個別企業の判断に際しては最新の開示情報もあわせてご確認ください。

よくある質問

Q. 電気機器業界の実質時給は全業種の中でどのくらいの水準ですか?
TimeValueが上場4,003社の有価証券報告書データから算出した全28業種の実質時給ランキング(2026年4月更新)では、電気機器業は上位寄りの中位に位置します。首位の海運業(¥5,265)や医薬品(¥4,240)と近接する企業が多く、最下位の小売業(¥2,834)を大きく上回ります。ただし今回比較したソニーグループ(¥5,556)のような高収益企業は業界平均を超えて医薬品・海運に匹敵します。具体的な企業別の実質時給はTimeValueの[時給ランキング](/#ranking)で確認できます。
Q. 富士通は最近急に給与が上がったと聞きましたが、なぜですか?
富士通は2020年代前半からジョブ型人事制度へのシフトを進め、職能給から職務給(ジョブグレードに基づく給与)への転換を加速させました。これにより専門職・マネジメント職の賃金が大幅に引き上げられ、2025/3期の有報に記載される平均年収は¥1,150万前後の水準に達しています。この「職務の市場価値を反映した給与体系」がソニーと肩を並べる実質時給を生み出しています。
Q. 日立の年収が1,000万円を超えているのに時給で3位になる理由は?
日立の月平均残業時間は4社中最長の約19.6hで、年間換算すると235hの残業が発生します。残業が増えると総労働時間(分母)が増えるため、年収が高くても時給が抑えられます。富士通との比較でいえば年収は¥147万高いですが、残業が4.8h/月多い分、時給では¥839/h下回ります。日立は近年DX事業(Lumada)の拡大で業績好調ですが、現場の残業削減がさらなる時給改善の鍵です。
Q. パナソニックHDの実質時給¥4,108は低いですか?
上場企業全体の平均時給(約¥3,400/h前後)と比較すれば¥4,108/hは十分高水準です。ただし今回比較した4社の中では最低で、ソニーグループ(¥5,556)との差は¥1,448/hに及びます。パナソニックHDは車載電池(パナソニックエナジー)・空調(パナソニック空質空調社)など成長領域への集中投資を続けており、収益改善とともに年収水準の引き上げが期待される局面にあります。
Q. ソニーグループの有報データはソニー全体を表していますか?
いいえ。有価証券報告書に記載される平均年収・残業時間は「提出会社(単体)」の数値です。ソニーグループ株式会社(6758)の単体従業員は約3,200名で、ソニー半導体ソリューションズ・ソニーインタラクティブエンタテインメントなどの子会社・グループ会社の社員は含まれません。単体はホールディング機能と経営管理機能を担う高職位の社員が多いため、平均年収が高くなる傾向があります。実際のグループ全体の平均とは異なります。本記事の推計値はあくまで有報(単体)のデータを使った参考値としてご理解ください。

気になる企業の「本当の時給」を調べる

関連記事