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業界別の実質時給ランキング2026|賃上げでも「コスパの良い業界」はどこか(上場4,003社の有報データで比較)

11分
結論(要約)

2026年春闘の賃上げ率は連合5.26%・経団連5.46%と3年連続5%台。だが残業を含めた「実質時給」で見ると業界差は約1.86倍ある。上場4,003社の有報データでは、海運業(¥5,265)・証券業(¥4,935)・保険業(¥4,520)が上位、小売業(¥2,834)・サービス業(¥3,108)が下位。賃上げの「率」より、業界・企業ごとの実質時給とTEIの絶対額で選ぶのがコスパの良いキャリア選択。

この記事のポイント
  • 1業界別の実質時給は首位の海運業(¥5,265)と最下位の小売業(¥2,834)で約1.86倍の差がある。
  • 2実質時給が高いのは「高年収×短残業」の業界(海運・証券・保険・医薬品・不動産)。
  • 3建設業・電気ガス業は年収は高いが残業が月10時間超で、時給ベースでは中位に沈む。
  • 4業界平均はあくまで目安。同じ情報・通信業でも光通信は¥12,545と業界平均の3.6倍。業界で絞り個社で確かめる。
  • 5賃上げ率の『率』ではなく、実質時給とTEIの『絶対額』で比較するのが正しい。
目次
  1. 01なぜ「年収」ではなく「業界別の実質時給」で見るべきか
  2. 02業界別の実質時給ランキング2026(上場4,003社)
  3. 03なぜ業界でこれほど実質時給が違うのか
  4. 04個社で見ると業界平均をはるかに超える企業もある
  5. 05賃上げ時代の「コスパの良い業界」の選び方
  6. 06まとめ

2026年春闘の賃上げ率は、連合の第1回回答集計で5.26%(2026年3月、3年連続の5%台)、経団連の大手集計では**5.46%**と、いずれも高水準が続いている。だが「賃上げ=得」とは限らない。額面年収がいくら上がっても、長時間労働で消えていれば「時給」は伸びないからだ。

結論から言うと、残業を加味した「実質時給」で見ると、業界間の差は最大で2倍近い。TimeValueでは上場企業4,003社(データ最終更新2026年4月時点)の有価証券報告書から平均年収・平均残業時間を取得し、割増残業を補正した「本当の時給」を算出している。本記事では、その独自データで業界別の実質時給ランキングを作り、賃上げ時代に「コスパの良い業界」がどこかを可視化する。


なぜ「年収」ではなく「業界別の実質時給」で見るべきか

結論:賃上げは額面を上げるが、残業時間は業界で大きく違うから

賃上げ率はあくまで「額面(基本給)」の伸びだ。だが手取りの満足度を決めるのは、同じ年収を何時間働いて得たか——つまり時給である。そして月あたりの平均残業時間は、TimeValueのデータで業界平均3時間台〜11時間台までばらつく。

例えば平均残業が月3時間の業界と11時間の業界では、同じ年収でも年間で約100時間の労働差が生じる。これは時給に直接効く。だから「賃上げで○%上がった」より、業界の実質時給そのものを見るほうがコスパ判断には正確だ。

TimeValueの実質時給は、残業代の割増(法定外1.25倍・月60時間超1.5倍)を分母の労働時間に補正して算出する。これにより「残業代で年収が水増しされた高給」を正しく割り引いて評価できる。


業界別の実質時給ランキング2026(上場4,003社)

結論:上位は海運・証券・保険・医薬品。下位は小売・サービス・繊維

以下は、TimeValueが上場企業の有価証券報告書から算出した業界別の平均実質時給ランキング(各業種3社以上、データ最終更新2026年4月)。

順位 業種 社数 平均実質時給 平均年齢 平均残業/月 業界TEI
1 海運業 11 ¥5,265 40.0歳 4.7h 131.8
2 証券、商品先物取引業 36 ¥4,935 43.3歳 3.1h 114.0
3 保険業 13 ¥4,520 43.0歳 7.6h 105.1
4 鉱業 5 ¥4,311 42.3歳 8.7h 102.0
5 医薬品 80 ¥4,240 44.6歳 3.9h 95.1
6 石油・石炭製品 10 ¥4,159 44.0歳 5.2h 94.5
7 不動産業 141 ¥3,864 39.3歳 3.0h 98.4
8 銀行業 78 ¥3,853 42.2歳 5.5h 91.2
9 建設業 154 ¥3,766 43.2歳 10.6h 87.2
10 電気・ガス業 28 ¥3,734 42.1歳 10.9h 88.6

そして実質時給が低い側(コスパで注意したい業界)は次のとおり。

業種 社数 平均実質時給 平均残業/月 業界TEI
小売業 320 ¥2,834 4.8h 68.2
水産・農林業 12 ¥2,969 5.4h 70.8
パルプ・紙 25 ¥3,021 6.3h 71.3
その他製品 131 ¥3,063 3.7h 72.6
繊維製品 49 ¥3,100 3.6h 69.7
サービス業 561 ¥3,108 4.5h 80.0

首位の海運業(¥5,265)と最下位の小売業(¥2,834)では、実質時給に約1.86倍の開きがある。賃上げ率が同じ5%でも、出発点の時給がこれだけ違えば「1時間あたりの稼ぎ」の差は埋まらない。


なぜ業界でこれほど実質時給が違うのか

理由1:残業時間が時給を直接押し下げる

建設業(平均残業10.6h)や電気・ガス業(10.9h)は、年収水準は高いが残業も多く、時給ベースでは中位に沈む。一方、証券業(残業3.1h)や不動産業(残業3.0h)は残業が短く、年収を効率よく時給に変換できている。「高年収・短残業」の業界ほど実質時給が高いという原則がはっきり出ている。

理由2:装置産業・金融は一人あたり付加価値が高い

海運・石油・証券・保険といった上位業界は、設備や資本のレバレッジが効き、従業員一人あたりの生み出す付加価値が大きい。これが高い基本給=高い時給につながる。

理由3:労働集約型は時給が伸びにくい

小売・サービス・繊維といった下位業界は、店舗・人手に依存する労働集約型で、賃上げが進んでも時給の天井が低い。2026年春闘で中小の賃上げ率が5.05%と健闘しても、これらの業界は出発点が低いため、時給の絶対額では上位業界に追いつきにくい。


個社で見ると業界平均をはるかに超える企業もある

業界平均はあくまで目安だ。実際には同じ業界でも個社差が大きく、TimeValueの全体ランキングでは個社の実質時給が業界平均を大きく上回る。

順位 企業名 業種 平均年収 実質時給 残業/月
1 株式会社光通信 情報・通信業 2,409万円 ¥12,545 0h
2 M&Aキャピタルパートナーズ サービス業 2,266万円 ¥11,801 0h
3 インテグラル 証券、商品先物取引業 2,136万円 ¥11,123 0h
4 株式会社キーエンス 電気機器 2,039万円 ¥10,620 0h
5 三井物産 卸売業 1,996万円 ¥9,925 6.1h

例えば情報・通信業の業界平均実質時給は¥3,461だが、光通信は¥12,545と業界平均の3.6倍。**「業界で当たりを付け、個社で確かめる」**のが正しい順番だ。気になる企業の実質時給は時給ランキングで個別に検索できる。


賃上げ時代の「コスパの良い業界」の選び方

チェック1:実質時給が業界上位か(高年収×短残業)

額面年収だけでなく、残業時間とセットで見る。上の表で上位の海運・証券・保険・医薬品・不動産は「高年収かつ残業が短い」傾向があり、賃上げの恩恵を時給として受け取りやすい。

チェック2:TEI(タイム効率指数)で「若いうちの効率」を見る

TEI=実質時給 ÷ 平均年齢。若いうちにどれだけ効率よく稼げるかを示す独自指標だ。業界TEIでは海運(131.8)・証券(114.0)・保険(105.1)が突出する。20〜30代でキャリアの市場価値を高めたいなら、TEIの高い業界・企業を狙うと機会コストを抑えられる。

チェック3:賃上げ率の「率」に惑わされない

春闘の賃上げ率はニュースになりやすいが、率は出発点(現在の賃金)に対する伸びにすぎない。**「率」ではなく「実質時給の絶対額」**で比較するのが、コスパ・タイパ重視のキャリア選択の鉄則だ。


まとめ

確認項目 判断基準 チェック方法
業界の実質時給 上位(海運・証券・保険・医薬品・不動産) 本記事の業界ランキング
残業時間 月5時間以下が時給に有利 有報・TimeValue
TEI(タイム効率指数) 業界平均以上 時給ランキング
個社の実質時給 業界平均を上回るか 個別企業ページ
賃上げ率 「率」より実質時給の絶対額

2026年春闘の賃上げ率は3年連続で5%台と高水準だが、それを「時給」に変換できるかは業界と残業時間で大きく変わる。賃上げのニュースに一喜一憂するより、残業を含めた実質時給とTEIで「コスパの良い業界・企業」を見極めることが、タイパの高いキャリアへの近道だ。

業界・企業ごとの実質時給・TEI・残業時間はTimeValueの時給ランキングで検索できる。新卒・第二新卒の方は新卒ランキングで初任給ベースの時給も確認してほしい。関連記事として、年収が高いのに時給が低い会社の特徴みなし残業は損か得かも合わせて読むと、業界×個社×残業の3軸で企業を見る目が養える。

本記事の実質時給・TEI・業界平均は、EDINETに開示された有価証券報告書のデータを基に TimeValue が算出した推計値です(対象4,003社、データ最終更新2026年4月)。賃上げ率は連合・経団連の2026年春闘第1回集計(2026年3月)に基づきます。個別企業の判断に際しては最新の開示情報も合わせてご確認ください。

よくある質問

Q. 賃上げ率が高い業界=時給が伸びる業界?
必ずしも一致しません。賃上げ率は基本給の伸び(率)であり、残業時間や出発点の賃金水準は反映しません。残業が長い業界は、賃上げで額面が上がっても時給の伸びが相殺されやすいため、実質時給の絶対額とTEIで見るのが正確です。
Q. 業界平均が低い業界は避けるべき?
一概には言えません。業界平均が低い小売・サービス業でも、個社では実質時給¥7,000超の企業が存在します(M&A仲介・コンサル系はサービス業に分類)。業界で大まかに絞り、最後は個別企業の実質時給で確認することを勧めます。
Q. 有価証券報告書の残業時間は信頼できる?
上場企業は有価証券報告書での平均残業時間の開示が求められ、虚偽記載は金融商品取引法違反となるため、口コミサイトより客観性が高いです。ただし管理職は労働時間の算出対象外のため、管理職比率が高い企業では残業が過少に見える場合があります。

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